239 名前:1/2[] 投稿日:2006/03/04(土) 11:52:14
小学生の頃、あの1日だけでいいから戻りたい。
約20年前の学校帰りの道。いつもの通学路から1本奥まった道を帰ってた。
そこの小さな空き地に怪しげな行商のおじさんがいた。
いまはどうか知らないけど、当時学校帰りに時々縁日もどきの行商が座ってた。
学校の門前にヒヨコ売りやら、オカヤドカリ、ミドリガメ売り、スーパーボール売りとか。
そのおじさんは、学校の門前じゃなくて住宅街のどうでもいい空き地で小さな露台をたてていた。
赤いインキで、これで文字を書いてもペンでなぞればすぐ消えるみたいなインチキマジックペンみたいなやつ。
私のほかに、何人か物珍しげに群がる子供達。
おじさんは試しにと私のピンクのカーディガンの上に「○子」と名前を書いた後、ペン先でインクを消した。
「○子」が偶然にも私と同じ名前だったので驚いた。
なんとなくおじさんに親しみを持った私は
「いまお金がない。家に帰ってもう一度くるから待ってて。」と頼んだ。
おじさんは「忘れちゃうかもしれないから、名前だけ教えてよ」というので
「○子。いまおじさんが書いたのと同じ漢字で○子だよ。」と言うと、そのおじさんは
ものすごく驚いた顔をして「○子?○子っていうんかい?本当かい?」と何度も繰り返した。
子供心にも『偶然とはいえ随分オーバーに驚くおじさんだな〜』と思った。
で、30分かけて自宅に戻った私は親に事情を話して出かけようとしたけど
「やめなさい」と止められた。考えてみれば、毎日習い事でいっぱいだった自分には
また30分かけて買い物にいく時間なんてなかったのだ。
そのまま母の車で習い事に連れていかれた。
車中でずっと『おじさんは私が来ると信じて待ってるんじゃないだろうか。
約束をやぶっておじさんは悲しい気持ちになったんじゃないだろうか。』
空が夕闇に染まるのを見ながら申し訳ないような哀しい気持ちでいっぱいになった。
もしあの時の自分に戻れるなら、
おじさんに「待たせてごめんね」と謝ってマジックペンを買いたい。
240 名前:2/2[] 投稿日:2006/03/04(土) 11:53:02
昨年結婚する事になり、戸籍謄本をとり寄せた。
その時初めて知ったんだけど、祖父と私は血が繋がってなかった。
祖母は父を連れて再婚したそうで、本当の祖父は実の息子である父ですら
素性も名前も生死すら不明らしい。
祖母は何も語らず逝ったし、父も育ての親を考慮して敢えて聞こうとしなかったという。
この話を父から聞いた時、何故かあの時の行商のおじさんを思い出した。
私と父には同じ○の漢字が入り、2人とも共通する単純な名前。
おじさんが赤インキで「○子」と私の名前を書いたのはたまたま偶然だろう。
露店を開いてた場所が、昔家族が住んでいた家の近所だった事もきっと偶然。
何の関連性もない、ただの偶然が重なっただけだと思う。
なのに時々あの行商のおじさんを思い出してしまう。
たぶん、一生逢う事はないであろう祖父の姿を、勝手にあの時のおじさんに
重ね合わせて思いを馳せてるんだと思う。
もしあの頃に戻れるなら・・・
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/sepia/1066568485/
そのおじさんは、学校の門前じゃなくて住宅街のどうでもいい空き地で小さな露台をたてていた。
赤いインキで、これで文字を書いてもペンでなぞればすぐ消えるみたいなインチキマジックペンみたいなやつ。
私のほかに、何人か物珍しげに群がる子供達。
おじさんは試しにと私のピンクのカーディガンの上に「○子」と名前を書いた後、ペン先でインクを消した。
「○子」が偶然にも私と同じ名前だったので驚いた。
なんとなくおじさんに親しみを持った私は
「いまお金がない。家に帰ってもう一度くるから待ってて。」と頼んだ。
おじさんは「忘れちゃうかもしれないから、名前だけ教えてよ」というので
「○子。いまおじさんが書いたのと同じ漢字で○子だよ。」と言うと、そのおじさんは
ものすごく驚いた顔をして「○子?○子っていうんかい?本当かい?」と何度も繰り返した。
子供心にも『偶然とはいえ随分オーバーに驚くおじさんだな〜』と思った。
で、30分かけて自宅に戻った私は親に事情を話して出かけようとしたけど
「やめなさい」と止められた。考えてみれば、毎日習い事でいっぱいだった自分には
また30分かけて買い物にいく時間なんてなかったのだ。
そのまま母の車で習い事に連れていかれた。
車中でずっと『おじさんは私が来ると信じて待ってるんじゃないだろうか。
約束をやぶっておじさんは悲しい気持ちになったんじゃないだろうか。』
空が夕闇に染まるのを見ながら申し訳ないような哀しい気持ちでいっぱいになった。
もしあの時の自分に戻れるなら、
おじさんに「待たせてごめんね」と謝ってマジックペンを買いたい。
240 名前:2/2[] 投稿日:2006/03/04(土) 11:53:02
昨年結婚する事になり、戸籍謄本をとり寄せた。
その時初めて知ったんだけど、祖父と私は血が繋がってなかった。
祖母は父を連れて再婚したそうで、本当の祖父は実の息子である父ですら
素性も名前も生死すら不明らしい。
祖母は何も語らず逝ったし、父も育ての親を考慮して敢えて聞こうとしなかったという。
この話を父から聞いた時、何故かあの時の行商のおじさんを思い出した。
私と父には同じ○の漢字が入り、2人とも共通する単純な名前。
おじさんが赤インキで「○子」と私の名前を書いたのはたまたま偶然だろう。
露店を開いてた場所が、昔家族が住んでいた家の近所だった事もきっと偶然。
何の関連性もない、ただの偶然が重なっただけだと思う。
なのに時々あの行商のおじさんを思い出してしまう。
たぶん、一生逢う事はないであろう祖父の姿を、勝手にあの時のおじさんに
重ね合わせて思いを馳せてるんだと思う。
もしあの頃に戻れるなら・・・
http://gimpo.2ch.net/test/read.cgi/sepia/1066568485/
それで十分なのかもしれない。
にしても、子供が塾やらなんやらで時間に拘束されるのは何ともなー